パン屋のお仕事③~怒涛の仕込み編~
それでは第三回目になったパン屋のお仕事ご紹介しましょう。
今回は僕がメインでやっていた「仕込み」いわゆる生地を作る仕事をご紹介します。
生地を作るというプロセスは結構簡単で
・量る
・混ぜる
この2つに集約されます。
この作業自体は難しいものではなく(もちろん生地の状態、混ぜるタイミング、こだわりだしたらキリがないので割愛)一定の規則に従って行います。
量る・・・秤を使って量ります、粉や水は大型(0.01kgー30kg)でその他はだいたい小型(1gー2000g)のものを使用していました。もちろん量るものは決まっていますが、仕込み量によって変わってくるので電卓はないと結構キツイ。
ただ、ヤナギハラは無駄にそろばん経験(小学生の頃)があったためほぼ暗算で乗り切れました。
まぁ複雑な計算をするわけではないので、出来る人はできます。
混ぜる・・・大型のミキサーで混ぜます。基本的にはパン作りには3-4段階の回転速度しか使いません。回転数によってもちろん違いがでてきますが、細かい設定をしながらの業務はなかなか難しいでしょう。
だいたいL3LM6M1↓L3M6M1とか書かれます。これは
低速3分中速6分中高速1分油脂(バターなど)を入れる低速3分中速6分中高速1分
という意味で、それぞれの生地についてこのミキシングパターンは存在します。
なのでその通りに動かせば生地はできます。(もちろん、微細のミキシングの違いで食感に違いが出ます。そこは確かに職人技です。職人、鋭い人にしか見分けがつかないポイントでしょう)
その他、メロンパンの皮を作ったり、クリームを作ったりもしますが基本の仕事はこれだけです。
えっ、簡単で誰でもできそう?
そうなのです。この仕事やろうと思えば誰でもできます。
さらにいうと、全て機械化できるところです。
むしろ機械化したほうがより良いパンが作れる可能性があります。(機械化することで、粉温度、気温から最適の水温を割り出せ、常に一定の品質のものができる)
この作業工程だけに絞ってしまえば、先行きの暗い仕事であることは否めません。
しかし、この工程こそが全ての基礎となるため、パンを理解するには必要なポイントです。ここさえわかっていれば、家でもパンが作れます!
(ここメインでやれたのはある意味運がよかったと思います)
さて、だれでもできる簡単な仕事だということはお分かりいただけたでしょうか?
しかし、やる人はほぼ僕一人でした。
そう、この仕事を難しくしているポイントがあるのです。
・一日20種くらいの生地を仕込む(もちろん配合は全て異なる)
・一日30本くらい生地を作る(食パン3回とか、フランスパン3回など同じ生地を複数回作る)
2台あるミキサーは回転しっぱなし、その間に次の準備をひたすら進める。
ひたすら自分もマシーンのように動く(生地を作り終わる時間は基本的には決めてある)
これが慣れないとキツイ!
何をどの順番で作って、それを作るために必要なものを量る。
全て暗記していないと、まぁ間に合わない・・・
ちなみに間に合わないと工程が遅れてしまいますので、他のほぼ全ての工程に迷惑がかかる仕様です(笑)
これに、季節限定のものとかが入り込んでくると、休憩に行けないなどザラです・・・
人間休憩いけないものと覚悟を決めると意外と余裕になります。
どうしても時間指定があったり(店に出るタイミングや焼く場所の都合など)すると、そっちに合わせないといけないのも大変なポイントでしょう。
さらに粉は10-18kg前後の重さがあり、できる生地は15-30kgになります。
相当の筋力が必要です。
やっていると力はつくので、片手で12kgくらいまでは余裕になります。
うん、パワーポイントよりもパワーが必要な仕事ですね!
・慣れるまで(覚えるまで)難易度が高い
・無駄にプレッシャーがある
・筋力が必要(一般的女性はキツイと思う)
これらの理由で、できるやつがやってればいいじゃん的空気が形成されていた気がします。
まぁ難しくはないんですよ、ほぼやり方も確立しましたし。
ああ、メリットもありますよ。
・早く帰れる(可能性がある)
初期の頃は遅かったですが、慣れてきたら16時前後に帰れるようになりました。
うん、早い!
4時から出勤しているからそれくらいには帰りたいけどね・・・
トラブルと際限なく遅くなったりするけど・・・
ちなみに、僕はこの時間に帰ることを目標に頑張っていました!
だって家でいろいろ作りたいのですよ・・・
まさにタイム・イズ・マネー
この後の時間が仕事をしていた僕にとっては至福の時間でしたよ!
やはり、時間もお金も自分に投資してこそです。
これからも自分の時間を大切にしていきたいですね。